自分が嫌いなあなたへ ~自分を好きになるために

「自分が嫌い」は苦しい
落ち込んだり、不安になったりして相談に訪れる方たちの多くに共通している一つのこと、それは「自分が嫌い」、ということです。
自分が嫌いなことは苦しい。自己嫌悪という感情はとても憂鬱で苦痛なものです。

「自分が好き」はよいこと?悪いこと?
でも、その人が自分を好きになりたいか、というとそれはイヤだと思っていることも少なくありません。自分を好きな人と言えば、傲慢で、オレ様で、身勝手で、人を傷つけても平気でいる利己的な人物を思い浮かべているのです。

自己嫌悪感が強い人の中には、身近にそういう傲慢な性格の人がいて、すごく傷つきながら育ったということも少なくないようです。
とはいえ自己肯定感と心の健康に深い関係があることもよく知られるようになっているので、自分の問題を自己肯定感と関連づけて考えてもいたりもします。

どういうことなのでしょうか。自分を好きなことは良いことなのでしょうか。悪いことなのでしょうか。

自己愛のパラドックス
一見矛盾して見えるこの問題ですが、実は矛盾なのではなく、似て非なる二種類の「自分が好き」が混在し、見分けがつきくなっているせいで生じる誤解です。

自分大好きな、傲慢でオレ様で、自分はグレイトだ言う、自己宣伝、自慢が多いという人が、実のところ根底では自分が大嫌いで、すごくみじめな気分を隠し持っている、ということはとても多いです。でもそれを認めるのはすごくつらい。だから防衛的に自分を愛している。それが見かけ上の自己肯定の正体です。それはつまり、傷ついた自己愛を守るための「防衛的な自己愛」、偽物の自己肯定なのです。

本物の自己肯定感とは?
では本物の自己肯定とはどんなものでしょうか。

本当に自己肯定感の高い人は、傲慢で尊大なオレ様ではありません。むしろ深い自己受容に基づいた謙虚さがあり、自然体で、等身大の自分でいられるような人物です。人より優れているという優越感ではなく、「私はコレでいいのだ」と受け入れることから来る自信、それが本物の自己肯定です。

人間関係の中で育まれる自己肯定感
本物の自己肯定感は、信頼できる人間関係の中で、自然体の自分らしさをさらけ出し、その時にそれが肯定的に受け入れられたという体験に基づいています。自分で自分を認めること、だけれど、それは自分一人でできることでもないのです。信頼できる人を鏡にすることで本来の自分の姿を知り、受け入れることができる。そうして育まれた自己肯定こそが安定した心の健康の基礎となるのです。